狂犬病について
ゴールデンウイークも終わり、暖かい日が多くなりましたね。わんちゃん、ねこちゃんにとってはお散歩日和・日向ぼっこ日和の毎日ではないでしょうか?
さて、年度も切り替わり狂犬病の接種で動物病院に来院した方やこれからする方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。改めて狂犬病とは何かということを今回お話します。
『狂犬病とは』
狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれることで様々な症状が引き起こされる病気です。犬に噛まれて感染することが多いですが、他の動物に噛まれることが原因になる場合もあります。通常人から人に感染することはありません。
狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内で多くの犬が狂犬病と診断され人も狂犬病に感染して死亡することが多くありました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、わずか7年という短期間で撲滅するに至りました。現在、日本では犬などを含め狂犬病にの発生はありません。だが、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており日本は常に侵入の脅威に晒されています。
万が一侵入に備えた対策が重要となっています。そのためには犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち予防を確実に行うことが必要となります。
『症状とは』
◦初期症状
・発熱、頭痛、筋肉痛など風邪のような症状
・噛まれた箇所の痛み、痒み、痺れ
◦進行した時の症状
・興奮
・不安
・幻覚が見える
・攻撃的になる
・水や風を怖がる
・意識障害
・呼吸困難
『治療法とは』
狂犬病は発症してしまうと治療法はありません。そのため野生動物に接する場合や狂犬病が流行している地域で動物と接する場合には事前にワクチンを接種することが大切です。
ギュウギュウ📦
箱好きハイハオ。入ってはみたもののちょっと小さくてきつそうです。
ハイハオを撮影中、とら吉は「自分もかまって」とスタッフの足に擦り寄ってきたので、撫でてあげるとご満悦な様子でした。
とら吉も箱に入りたかったようですがハイハオが譲ってくれず……
毛繕いでごまかされる🐱
犬猫の貧血
桜シーズン到来ですね🌸
お花見をわんちゃんとされるご家族様も多いのではないでしょうか?
今年からは屋台も並びそうでお花見が楽しみです😊
さて、そんな時に怖いのが誤食です。今回お話しするのは、誤食後に起きてしまう可能性のある貧血についてです。ただし誤食は原因の一つであり、防ぐことができるため日頃から誤食する可能性のあるものは戸棚の中にしまったり、お散歩時はリードを短くもち目を離さないなどの対策をおすすめします。
貧血は、末梢血中の赤血球数や血色素量が減少している状態です。赤血球が減少したとき骨髄で赤血球をつくることのできる再生性貧血と、骨髄機能が減退し赤血球をつくる機能が低下している再生不良性貧血に分類されます。また、再生性貧血は出血性貧血と溶血性貧血にわかれます。
<症状>
組織の酸素不足からくる可視粘膜の蒼白、元気喪失、体重減少、運動不耐性(運動をいやがる、疲れやすい)、心拍数の増加、呼吸速拍、失神などがみられます。溶血性貧血の場合は黄疸、血尿、脾臓や肝臓の腫大がみられることもあります。
<原因>
出血性貧血の場合…
外傷、手術、消化管出血(出血性胃腸炎、潰瘍、消化管寄生虫、腫瘍など)、泌尿器出血(膀胱炎、尿石症、腫瘍など)、ノミなどの外部寄生虫、血小板減少症など血液凝固異常による出血が考えられます。
溶血性貧血の場合…
赤血球寄生虫、ネギ中毒、自分の赤血球を抗原と認知し赤血球を破壊してしまう自己免疫性溶血性貧血、化学物質による肝機能不全などが考えられます。
※誤食によって起こる貧血は、この溶血性貧血に該当します。ネギ類の誤食は十分に注意してください。
再生不良性貧血の場合…
赤血球の核の合成に必要なビタミンB12や葉酸の欠乏、ヘモグロビン合成に必要な鉄、銅、アミノ酸、ビタミンB6の欠乏、赤血球産生ホルモンが欠乏する慢性疾患や腎疾患、薬物中毒、内分泌機能不全、ウイルス感染、腫瘍細胞により骨髄がおかされてしまう骨髄ろう性貧血などが考えられます。
<検査>
血液検査を行い、赤血球数(RBC)やヘモグロビン濃度(Hb)などの数値から、貧血かどうかを確認します。
貧血が起きている場合、冒頭でお話ししたような一般的な症状がみられることが多いため、「いつもと比べて元気がないかも」「歯茎が白っぽい?」「なんだか様子がおかしい」と思うことがあれば、なるべく早めに受診するようにしましょう。
☆ご自宅でできること…わんちゃん、ねこちゃんの口を少し上にぐぃっと上げると歯茎の下にピンク色の粘膜が確認できると思います。その粘膜の色がピンク色でしたら正常初見です。(※写真参照)これよりも青白い場合は、貧血の可能性がありますので定期的にチェックしてみてください。
お散歩🐾
すっかり春の陽気ですね🍡
今日は院内のエアコン掃除をしました🧤
掃除が終わってからハイハオの院内散歩をして、高いところに興味を示していたので猫なら通れそうなところに移動してみたら…
前進したり、後退したりと楽しそうでした😊
トラ吉はちょっとだけお腹がつっかえて曲がり角が大変そうでした…😂💓
アジソン病について
今回はアジソン病(副腎皮質機能低下症)についてお話しします。
アジソン病とは腎臓のそばにある副腎から分泌される副腎皮質ホルモンが少なくなる病気のことで、発症は稀ですがほとんどの場合は1歳〜8歳の若い犬にみられます。
また、アジソン病は発見が難しいと言われています。
症状
元気・食欲がなくなる、下痢、嘔吐、体重減少など…
胃腸炎や腎不全などの他の病気と症状が似ています。
原因
主な原因は不明ですが、自分で自分の細胞を壊してしまうことで起こる副腎の萎縮だと言われています。
検査
血液検査…内分泌(コルチゾール)、電解質(ナトリウム・カリウム・クロール)、
腎臓(BUN)の検査をします。
・コルチゾールの数値が基準値より低い
・カリウムの数値が高く、ナトリウムの数値が低い
・BUN(血液中の尿素数)の数値が高い
超音波検査…副腎の大きさを測定します。
治療
ほとんどは飲み薬の内科療法になります。
薬には不足してしまうホルモンを補う成分が含まれています。
アジソン病は完治しない病気でストレスに弱い為、トリミングや旅行などの環境の変化による発症が多く見られるそうです。
また、症状が出ているのに放置すると痙攣や失神などのショック状態となり、命を落とすこともあります。
アジソン病は前回お話ししたクッシング症候群と同じく予防法がない為、定期的な健診での早期発見、また様子がおかしい場合は長く様子を見ず早めの受診をお勧めします。
クッシング症候群について
★クッシング症候群は高齢のわんちゃんに多くみられ、筋力低下や毛が薄くなるなどの症状は加齢によるものだと見逃してしまうこともある病気です。
腎臓のすぐそばにある『副腎』からコルチゾールというステロイドホルモンのひとつが、過剰に分泌され様々な物質の代謝異常や免疫機能の低下を起こします。
★症状 ・多飲多尿
・脱毛
・皮膚の黒ずみ、皮膚が薄くなる
・筋力の低下
・お腹が膨れてくる
・細菌感染を起こしやすくなる など
また合併症で糖尿病や膵炎、高血圧症などを起こすこともあります。
★原因 ①脳下垂体の腫瘍
②副腎の腫瘍
③医原性…ステロイドを使用した治療が長期で続いた場合に起こることがあります。
★クッシング症候群の疑いがある場合は
・血液検査、レントゲン検査、超音波検査…全身状態の確認
・ACTH刺激試験…ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を投与して時間をおき、コルチゾールの数値がどう変化するかを調べる。
さらにCT、MRIで詳しい画像検査をすることもあります。
★治療 ほとんどは飲み薬での内科療法になります。完治する病気ではないため、長期で薬を飲み続ける必要があります。
予防法がない病気なので、定期検診やいつもと違う症状がみられた際の早めの受診をおすすめします。
甲状腺の病気
甲状腺は喉のあたり(気管の横)にあり、甲状腺ホルモンを産生・分泌しています。甲状腺ホルモンは代謝の促進などに関わっているホルモンです。
今回は甲状腺の病気を2つお話ししたいと思います。
〈甲状腺機能低下症〉
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気です。
猫ではまれで、5歳以上の中〜高齢の犬に多くみられます。
=原因=
ほとんどの場合、甲状腺自体の問題で起こるといわれています。
- =症状=
・元気がなくなる
・あまり食べないのに太ってくる
・すぐ疲れる
・皮膚が厚くなり「悲しそうな顔」になる
・毛が薄くなる
などがあります。- =治療=
血液検査、甲状腺ホルモン検査、超音波検査などを行い診断をします。
甲状腺機能低下症と診断を受けたら甲状腺ホルモンを補充する薬を投与します。
甲状腺の機能自体を回復させることは難しいため定期的に検査を行い、生涯に渡って投薬を続ける必要があります。
〈甲状腺機能亢進症〉
甲状腺機能亢進症は甲状腺機能低下症とは逆に甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。
犬ではまれで、10歳以上の猫に多くみられます。
=原因=
甲状腺の細胞が異常に数を増やしてしまうことで起こります。
=症状=
・行動が活発になり落ち着きがなくなる
・多飲多尿
・食欲が増えるのに痩せてくる
・脱毛、毛艶が悪くなる
・呼吸促迫
・頻脈、心雑音、心肥大
・下痢、嘔吐
などがあります。
=治療=
主に触診と血液検査、甲状腺ホルモン検査を行い診断をします。
甲状腺機能亢進と診断を受けたら甲状腺ホルモンの分泌をコントロールするため、甲状腺ホルモンの合成阻害薬を投与します。しかし薬によって完治することはなく生涯に渡って投薬を続ける必要があります。
また療法食でホルモン分泌をコントロールできることもありますが、ずっと続ける必要がありますし療法食を食べない猫が多いなどの問題点もあります。
甲状腺機能亢進を起こしている原因が甲状腺の悪性腫瘍である場合や内科的治療で効果がみられない場合は、手術で甲状腺を摘出する場合もあります。
残念ながらこれらの病気は予防法がありません。
そのため定期的に血液検査を含む健康診断を行い、早期発見につなげましょう。
花音ととら吉はすでに10歳を過ぎシニアになりましたが、いつまでも元気に長生きしてほしいものです︎☆