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2025.07.09

腎不全について

 梅雨とは思えないほど非常に暑い日が続きますが、お元気にお過ごしでしょうか🌻

 今回は腎不全についてお話したいと思います。

まず、腎臓の役割って…?
・尿の生成や体の中で不要になった老廃物や毒素を尿の中に排出する 
・血圧を調節する
・ホルモンを分泌し、赤血球を作る
・ナトリウムやカリウムなどの血液中のイオンバランスを保つ など

 腎不全になるとこれらの働きが障害されます。

腎不全とは…
 腎臓がダメージを受けて十分に機能しなくなる状態。
 高齢になるほど、慢性腎不全になるリスクは高くなる。

 腎不全に至る時間経過により「急性腎不全」と「慢性腎不全」に分けられます。

●急性腎不全
 数時間から数日という短期間急激に腎臓の働きが低下し、腎不全に至るもの。

●慢性腎不全
 急性腎不全と異なり、長い経過をたどり腎臓の働きが徐々に低下して腎不全に至る。

慢性腎不全のステージ分類
 
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が推奨しているステージ分類を行うことによって治療の方針を決定します。
 ステージ分類は、血液検査によるCRE(クレアチニン)やSDMAの値、尿の状態、血圧の数値などを参考に行います。

 IDEXX社 CKDガイドラインより
ステージ1
 ・無症状
 ・血液検査異常なし
 ・尿検査で尿比重の低下、蛋白尿
 ・腎臓の形状の異常が認められることがある

ステージ2
 ・多飲多尿
  →腎機能が低下してくると尿を濃縮できなくなるため、薄い尿を大量にするようになる。
 そのため、水分不足になり、水をたくさん飲むようになる。

 このステージでは、まだほとんどの子で元気・食欲が普通にあり、なかなか異常に気付かないことがあります。
 しかし、腎機能は正常の4分の1にまで低下しています

ステージ3
 ・尿毒症を発症し始める
  →腎機能の低下が進むと、老廃物などの有害物質を尿中に十分排泄することが出来なくなるため
 ・口内炎や胃炎になりやすくなる
  →血液中で高濃度になった有害物質により、口腔粘膜や胃粘膜が荒れるため
 ・食欲低下
 ・嘔吐
 ・血液検査で腎機能の指標となる数値である、BUN(尿素窒素)、CRE(クレアチニン)が上昇
  →BUNやCREは、本来は腎臓から排泄される老廃物だが、腎機能の低下により尿中に排泄することが出来なくなってしまい血中濃度が上がるため
 ・貧血
  →腎臓は赤血球の成熟に必要なエリスロポエチンというホルモンを分泌しているが、慢性腎臓病になるとエリスロポエチンを正常に分泌することが出来なくなるため

ステージ4
 ・重篤な臨床症状がみられる
 ・尿毒症がさらに進行し、積極的な治療なしでは生命維持が困難

原因
 ・細菌やウイルスの感染による腎炎
 ・外傷
 ・薬物、食物、植物などによる中毒
 ・心不全、心筋症やショックなどによる腎血流量の低下
 ・免疫疾患などによる腎炎
 ・尿路結石症などによる尿路の閉塞 
 ・遺伝的要因 など

症状
●急性腎不全
短い期間のうちに…
 ・無尿、乏尿(尿量が著しく減少すること)
 ・食欲不振
 ・元気消失
 ・下痢
 ・嘔吐
 ・脱水 など
 重症になると、痙攣体温低下電解質異常などを起こし、死に至る場合もある。

●慢性腎不全
初期
 ・無症状な期間がある。
 ・多飲多尿
進行すると…
 ・体重減少
 ・元気消失
 ・嘔吐
 ・貧血 など
 尿毒症まで発展すると元気消失、嘔吐、下痢、痙攣などの神経症状も引き起こす。

治療
●急性腎障害
 ・原因となっている病気の治療
 ・点滴(尿が出ている場合) など
  →腎臓を保護する治療を行うことで徐々に腎機能が回復することがある。

 急性腎不全から回復した後も完全に機能が回復せずに、慢性腎不全へと移行することもあります。

●慢性腎不全
 慢性腎不全で既に破壊されてしまった腎臓の組織は、回復することはありません。そのため、血液中の老廃物や毒素を体内に貯めすぎないようにして体調を維持すること、そして慢性腎不全の進行をできるだけ緩やかにすることが治療の主体となります。

その方法としては
 ・点滴(静脈点滴や皮下点滴など)
  →体液を増加させ、尿量を増やすことで老廃物の排泄を促す。この点滴には脱水を補う目的もある
 ・薬物療法
  →腸内でリンを吸着させ、便として体外に排泄させるような薬や腎高血圧を防ぐために降圧剤など
 ・食事療法
  →腎臓の負担を軽減させるため。尿毒症を引き起こす老廃物を体に貯まりにくくするために、タンパク質・ナトリウム・リン等を制限しているもの

 腎不全の予防には、塩分を控えた栄養バランスのとれた食事や新鮮な水がいつでも飲める環境を保つことを心がけ、定期的な血液検査や尿検査などの健康診断を受けることも大切です。
 ご自宅では、わんちゃん、ねこちゃんの飲水量・排尿の状態をこまめにチェックすると変化に気付きやすくなります!
 また、多飲多尿などの症状がみられた場合は、早めに病院にご相談ください。

Tel.022-769-9939
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