肝臓病について
最近、「元気がない」「食欲が落ちてきた」「下痢や軟便が続いている」といったことはありませんか?
これらの症状は肝臓病によって引き起こされることがあります。
今回はその肝臓病についてお話ししたいと思います。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行しても症状が出にくい臓器です。
肝臓は「体の化学工場」のような役割を担い、多くの重要な働きをしています。
・栄養の貯蔵と代謝
・有害物質の解毒、排泄
・胆汁の生成、分泌
これらの機能が低下すると体のさまざまな部分に影響が出てきます。
【主な症状】
肝臓病の初期症状として最も多いのが食欲不振です。一時的な食欲不振と思って放置すると肝酵素の上昇が進んでいるケースもあります。
その他肝臓病が進行すると次のような症状もみられます。
・嘔吐や下痢
肝臓病が進むと消化機能にも影響がでます。
・黄疸
肝臓病の代表的なサインです。ビリルビンという色素が体内に蓄積することで皮膚や粘膜、目の白い部分が黄色く見えます。
・体重減少
慢性的に肝臓の動きが悪くなると、栄養の吸収が妨げられることで痩せてくることがあります。
・多飲多尿
肝機能低下による毒素の代謝障害で血液中の老廃物を処理できず腎臓に負担がかかり尿量が増えるため、脱水を補おうとして飲水量が増えます。
・腹部膨満
お腹に液体が溜まり体全体がむくんだり、肝臓腫大による腹部膨満がみられる場合もあります。
さらに重症化すると痙攣などの神経症状が現れることもあります。
肝臓病の原因は多岐にわたりますが感染症や薬物中毒、外傷、腫瘍や胆管閉塞などが挙げられます。
【代表的な肝臓病】
◎犬の場合
〈肝炎(急性・慢性)〉
急性肝炎はウイルスや細菌の感染、あるいは化学物質などが原因となることが多いです。一方で慢性肝炎は急性肝炎から進行する場合や原因不明のことが多く、進行すると肝硬変や肝臓がんへ移行する恐れがあります。
〈先天性門脈体循環シャント〉
門脈シャントは肝臓を経由しない血管の異常によって毒素が全身に回る病気です。発育不良やふらつき、食後の異常行動が特徴的です。
〈中毒性肝障害〉
重金属や薬物、毒性のある植物などによって引き起こされます。急激に症状が悪化するため、早急な診察が必要です。
◎猫の場合
〈胆管肝炎〉
細菌感染が原因となり嘔吐、黄疸、尿の色が濃くなるなどの症状がみられます。
〈甲状腺機能亢進症〉
甲状腺ホルモンの過剰分泌による代謝異常が原因で、肝臓にも影響を及ぼすことがあります。
この場合、血液検査で肝酵素の上昇がみられることが一般的です。
〈肝リピドーシス〉
肥満の猫で発症することが多く、肝臓に脂肪が過剰に蓄積される病気です。食欲不振が一週間以上続く場合は特に注意が必要です。
さらに猫はアロマオイルに含まれる特定の成分を分解する酵素を持っていないため、アロマオイルが原因で肝臓が障害を受けるケースもあります。
【診断方法】
肝臓病の診断では主に血液検査が用いられます。(肝臓に異常がある場合ALTやASTといった酵素の値が上昇し、黄疸が認められる場合はビリルビン値の上昇が確認されることが一般的です)
さらに必要に応じて超音波検査(肝臓の形や質感、胆嚢の状態、腫瘍の有無を確認)や、レントゲン検査(肝臓のサイズや位置の異常を確認)などの画像診断を行います。
【治療方法】
肝臓の治療は原因に応じて異なります。
・食事療法:高品質なタンパク質、低銅食など肝臓に負担をかけないフード
・薬物療法:肝機能をサポートする薬を使用し症状の進行を抑える
・点滴・輸液療法:脱水やアンモニア上昇時に実施
・原因治療:感染症、胆泥症、腫瘍などがあればそれに応じた治療

【予防と日常のケア】
・定期健診で早めの変化に気づく
肝臓の病気は見た目に変化が現れにくいことがあります。定期的なチェック(血液検査、超音波検査、尿検査など)で早期発見につなげましょう。
・肥満を防いで適度な運動
肥満は肝臓に負担をかけやすく、脂肪肝などのリスクにもつながります。理想体重を維持し、散歩や遊ぶ時間を設けるようにしましょう。
・誤食、中毒を防ぐために
犬や猫にとって有害な食べ物や植物を家の中から排除したり、人用の薬や農薬などの劇毒物はペットが誤って口にすることがないように管理を徹底しましょう。
肝臓は犬や猫の健康を支える重要な臓器です。早期発見と早期治療が回復への鍵となるため、何となく元気がないといった些細な変化でも見逃さないようにし、早めに動物病院を訪れることが愛犬・愛猫の健康を守る第一歩です。
