暑い日が続いていますが、体調はいかがでしょうか?☀
今回は猫の病気の中でも命に関わる重篤な疾患と言われる猫伝染性腹膜炎(FIP)についてお話ししようと思います。
猫伝染性腹膜炎(FIP)は猫コロナウイルスが猫の体内で変異し、猫伝染性腹膜炎ウイルスになり強毒化してしまうことが原因とされています。猫コロナウイルス自体はありふれたウイルスで感染しても無症状のまま回復することが多い病原体です。しかしFIPウイルスに変異し発症するとほぼ100%の確率で数日〜数ヶ月以内に亡くなってしまうと言われています。猫の中でも特に一歳半未満で多く発症します。
症状
FIPにはウェットタイプとドライタイプの2種類があり、症状も異なります。
ウェットタイプ
・発熱 ・嘔吐、下痢
・腹水、胸水の貯留 ・黄疸
・食欲低下 ・沈鬱 など
腹膜に炎症が起き、腹・胸水が溜まる症状が特徴的で腹部膨満や呼吸困難がみられます。40℃を超える熱が続き食欲不振となり体重が減少していきます。
ドライタイプ
・発熱
・沈鬱
・内臓の肉芽腫性炎症による症状
ドライタイプは各種臓器における肉芽腫性炎による症状が特徴的で、肝機能障害を起こしたり、神経系が侵された場合、体の麻痺などの症状がみられます。また、ぶどう膜炎などの眼病変がみられることもあります。
診断
FIPは診断を確定することが難しく、問診、血液検査、超音波検査などから総合的に判断します。検体が採取できた場合はPCR検査を行うこともあります。
治療・予防法
これまでFIPは不治の病とされ、対症療法がメインでしたが、近年FIPに効果のある抗ウイルス薬が発見され、国内でも使用されるようになりました。正しく投薬された場合の生存率は約8割と高く、FIPに非常に有効であることがわかっています。しかし、FIP末期になると治療効果が出にくくなるため、早期治療が求められます。
予防としては完全室内飼い、ストレスの少ない環境を整える、多頭飼育の場合発症が疑われる猫は別の部屋へ隔離するなどがあります。国内では使用できる有効なワクチンがないため、ウイルスを体内に入れない、免疫力を下げないことが大切です。